【第4話】桐壺、リスティング広告の夏期休暇対策を超高速で行います。


梅雨が終わり、本格的な夏を迎えた7月半ば。佐藤と高橋はコーヒー片手にホワイトボードに張り出された夏期休暇スケジュールを確認していた。

「もう7月も中旬か・・・。」
「早いですよねえ。今月も色々あってあっと言う間でした。アカウントの長期休暇対策はどうですか?オペレーターチームは今が忙しいでしょう。」
「俺の担当は休暇中広告運用を停止するところが多いから気は楽だな。・・・誰がとは言わないが、今年は慌ただしかった。」

そう話しながら二人は遠藤の側でAdWordsの管理画面に向かう桐壺に目を向けた。

「ここのところ寝ても覚めても仕事に追われている気がして気が休まらなかったんですが、あの時桐壺さんにお手伝いして頂き、プライベートも上手くいって・・・。そこでようやく自分が一杯一杯だったんだなって気づけました。」

その言葉に高橋も子猫の件を思い出し、相づちを打つ。

「わかるなそれ・・・。気がかりなことがあると集中力が切れてしまうし。体調管理も勿論だが、心に余裕を持つことが大事だなと思う。」
「ええ、なので今年は小旅行の計画を立てています。妻がゆっくり身体を休めて欲しいと、海近くの温泉旅館を調べてくれまして。」
「ふっ、ノロケか。幸せそうで何より。」
「あはは、すみません。高橋さんのご予定は?なんとなく普段はビリヤードとかダーツといった、インドアなイメージがあるのですが。」
「ああ、今年はキャンプに行くよ。今回は料理メイン――燻製に挑戦してみようと思っている。前から気になっていたんだが、夏休みぐらいでないとやる機会もあまりなくてな。」

休暇の話をしていると桐壺がひょっこりと顔を出した。

「佐藤さん、高橋さんお疲れさまです。なにやら楽しげにアウトドア関連のお話をされていましたが、関連キーワードの品質スコアが上がったんでしょうか?何かお力になれることはありますか?」

嬉々として二人に尋ねる桐壺であったが、佐藤と高橋はお互いに顔を見合わせ、思わず笑い始めてしまう。

「・・・あれ?違いましたか?」
「いや。ちょっと面白くてな。夏期休暇の話の中で、品質スコアが出てくるあたり職業病というかさ。たいていは休み中に普段できないこと>をしたり、羽を伸ばすもんなんだよ。」
(なるほど・・・。夏期休暇中には人の行動が変わる、ということなんですね。)

不自然な回答にならないよう、桐壺はなるべく自然体を装って笑顔で答える。

「えーと、確かに休息は必要ですが、なんといいますか・・・。わ、私、仕事が好きなので!」
「ま、桐壺ちゃんを見てればそうなんだなとわかる。俺たちの場合、羽を伸ばす前に『アカウントの夏期休暇対策』というひと仕事が必要だしな。」
「夏期休暇対策?」
「ええ。夏期休暇中はユーザーの行動も変わります。余計なコストが出ないように入札単価などを事前に調整するんです。」

佐藤の言葉で桐壺ははっとして、思考を巡らす。

(――人間には仕事以外にプライベートというものが存在します。長期休暇のときには行動も変わる。つまりはリスティング広告のパフォーマンスにも影響する・・・。私には内臓はありませんが、これが腑に落ちるということですね!)

桐壺は目を輝かせ、何度も頷く。情報としては把握していたが理解に至らなかった部分が解消されたのであった。

「ところで遠藤はどうした?さっきまで手伝いをしていたと思うが。」
「遠藤さんはやはり具合が悪いようで、休憩を取っています。戻ってきたら休暇中の運用対策の見直しをして、早退すると言っていました。」
「そうだな早退して病院に行った方が良いだろう。桐壺ちゃん。遠藤が帰ったら俺の手伝いをしてもらっていいか?俺の方が先に終わらせて、俺も一緒に遠藤を手伝う。」
「はい、解りました。」



オフィス

――遠藤が休憩に入ってから20分が経過していた。桐壺は対策度合いに合わせアカウントの整理をしていが、段々と不安になってきていた。

(遠藤さん遅いですね・・・。すぐ戻ると仰っていましたが、ちょっと心配ですね。様子を見に行った方がいいでしょうか?)

桐壺が席を立とうかどうかと言うところで、ガタッという物音が聞こえた。荒々しく扉が開き、そこには今にも倒れそうな遠藤がいた。

「ひ、ひえ・・・。もう、ダメ。」

今井「遠藤さん!」

今井が最初に気づき、ふらふらな遠藤に駆け寄った。遅れて高橋もやってくる。

「おい、大丈夫か!?」

遠藤はチームメンバーを見て安心したのか、半分泣き顔で床にぺたんと座り込んでしまう。

「病院~~、病院いきますぅう・・・。う、うーん。うん。・・・うっ・・・。」

今井「はぁ、もう・・・。そうしなさい。いい?今後は面倒くさがっちゃダメだからね。」

「ハイ。ちゃんと病院いきます。」

今井「よろしい。休憩室まで荷物もっていってあげるから、落ち着いたら病院に行きなさい。あ・・・。タクシー呼んだほうがいいかしら?」

「すいません、タクシーお願いします。今日病院に行く予定で会社近くのところを調べてたんですけど、ちょっと歩いて行ける自信ないです・・・。」
「それじゃ、私がタクシー呼びますね。」

デスクで様子を見ていた佐藤が受話器を取った。

「おねがいします・・・。そしてタッキー・・・すまない・・・。」

高橋は半ば呆れた顔で遠藤をみた。

「ちゃんと病院に行っとけって言っただろう。まぁ、仕方ないけどな。それで遠藤ちゃんが気にしてるのは休暇対策だろう?」
「そのとーりデース・・・。今桐壺ちゃんと一緒に作業中しようとしてたとこ。SFA(営業支援ツール)の会社、ブレーンフュージョン。今日終わらせないと他の作業に響いちゃって、来週までにお、おわ。おわんない・・・予定なんです。」
「了解。心配するな。こっちでやっとく。そもそも初めから手伝うつもりでいたしな。今回、遠藤ちゃんの担当アカウントは休暇中もほぼ全部運用するってことだったし。まず遠藤ちゃんは病院。」
「高橋さんの言うとおり、病院に行ってください。私も手伝います!」

今井「――遠藤さん、荷物これで全部?」

遠藤が高橋と話している間に今井が遠藤の荷物を持ってきた。

「おっけーですー。ほんっと、皆さんすみません・・・。なんかちょっと気が楽になったし、急いで病院いってきます。桐壺ちゃん、デスクにクライアントの方針あるのでお願いね・・・。」
「はい、お任せ下さい!」

遠藤は今井に支えられながら、部屋を後にした。桐壺はブレーンフュージョンの夏期休暇方針資料を取り出し、高橋と一緒に確認する。

CPC上限CPAまで調整・・・。まずは対策ワードの仕分けが必要ですね。上限CPAを超えているキーワードをチェックして・・・。」
「基本的にはそうなるだろうな。とはいえ全キーワードとなると結構な量になるから、Imp上位20%だけを調整する。」
「わかりました。遠藤さんがその他のアカウントは半分くらいは調整済み、とおっしゃってました。」
「ブレーンフュージョンのキーワード数はおよそ1,000、残りのアカウントが10件ちょっとか・・・。ちょっと骨がおれるな。桐壺ちゃん、あたりどのぐらいかかりそうだそうだ?」
「そうですね・・・。1時間ぐらいでしょうか。ブレーンフュージョンの長期休暇対策と、遠藤さん担当の他のアカウントの入札単価調整案全て込みで。クライアントへの報告は来週以降ですから十分間に合うかと思います。それでは別室で作業して参ります!」
「・・・は?」

「お前は何を言っているんだ」とでも言いたげな高橋を尻目に、桐壺は最低限の資料を片手に別室へ向かった。

「――さて、遠藤さんの負担を減らすためにも任されたのを片付けてしまいましょう!」

ノートパソコンを起動させ、自分自身をも起動させる――。

「『artificial intelligence KIRITSUBO』オン。」

桐壺が眼鏡に触れ、言葉を紡ぐと辺りは青白い光に包まれた。光が収まると同時に桐壺の周囲に空中ディスプレイやキーボードが浮かび上がる。――桐壺の瞳も薄緑の輝きを放ち始める。

AI桐壺ON

「システム正常。これより長期休暇期間のリスティング広告運用の設定を行います。クライアントのオーダーは最低限の広告、表示回数が上位20%を占める広告の最適化。まずはキーワードの仕分けから行います。」



該当する全キーワードのCPA算出。



目標CPA確認。」
アカウント目標CPA10,000円
キャンペーン目標CPA9,000円
キーワード実績CPA[SFA]:8,800円
+SFA +比較:20,000円

目標CPAを超えているキーワードをマーキング。
ターゲティング・キーワードをリストアップ。



「[SFA]は上限CPAに達していません。インプレッションシェアにまだ余裕があるので、入札単価を調整、+SFA +比較は目標CPAから乖離しているため停止します。」

キーワードごとの最適CPCを算出。
キーワードごとのCPCを調整。



「ブレーンフュージョンの対策完了。その他の案件作業にとりかかります・・・。」



――桐壺は1時間後、すべての案件の夏期休暇対策を完成させ高橋に指示を仰いでいた。

「ああ、いい感じだ。そうだな・・・。桐壺ちゃんには他のCPC調整作業とレポーティングを一気に終わらせて貰おうかな。そのほうが遠藤も気が楽だろう。」
「はい!」
「うん。でももう定時前か。明日以降の作業分担だけ決めて、今日の仕事は終わりにしよう。」
「了解しました。」

桐壺と高橋が作業の割り振りを決めていると、廊下の方から慌ただしい足音が聞こえ、それは及川チーム室の前でぴたりと止まった。

「・・・もしかして。」
「はい?」

瞬間、扉が勢いよく開かれそこには病院に行ったはずの遠藤が居た。先程とは打って変わって元気な様子だった。

「ハァハァ・・・! いた、みんないた!」

及川「遠藤、体調不良で帰ったんじゃなかったのか?」

「及川さん、お疲れさまです。いや、そうだったんですけどそうなんですけど、あまりの嬉しさに診察終わってすぐ戻ってきちゃいました。」
(嬉しくて戻ってきた?なにかの病気が早期発見できて、命が助かったとかでしょうか・・・?)
「おいおい、嬉しい病気なんてあるのか?やっぱ遠藤ちゃん疲れてるんじゃ・・・。」
「そうですよ。無理しなくて良いんですよ。今は桐壺さんもいますし、早々に臨時メンバーを集めることもできますし。」
「ええ!?もう!みんなあたしをそんなに病気にしたいわけ?そんなんじゃないって、いつの間にか難病克服してたとかそういうのじゃないし。こうほら、ご祝儀とかお祝い貰えるヤツですよ!」

及川「ふむ。となれば・・・。」

今井「もしかして・・・オメデタ?

「イエース!! そうなんです! 待望の第一子がここにいます!」

01

(おめでた? オメデタ? 適切なキーワードを検索します・・・。)

「おめでた」という言葉にわっ、と喜びの声が上がる。桐壺は周りの雰囲気に合わせながら高速で出来切なキーワードを検索し始める。

今井「遠藤さんおめでとう。何ヶ月?」

「えーと? 2ヶ月?3ヶ月だっけ?なんか週とか言われたんだけど何言ってるかサッパリだよね。というか、なんかテンション高すぎて覚えてない。」

今井「ちょっともうしっかりしなさいよ・・・。でもよかったわ喜ばしいことで。」

「ええ、本当です。」
「皆様にはご心配おかけしましたよホント・・・。それで及川さん、仕事のことなんですが!」

及川「お前、とりあえず身体をいたわって休もうという気にはならないのか。有給も溜まっているというのに・・・。」

「なんたって遠藤だからな・・・。」

及川「以前話していた産休と在宅勤務の話だろう?産休は時期が来れば問題なく取れる。在宅の方は専用パソコンの準備がまだなので希望者がいると伝えておく。」

「えっへへ、ありがとうございます。遠藤はこれから身体をいたわりつつも、会社でも自宅でも頑張ります。あーと、桐壺ちゃん。」
「はい、なんでしょう?」
「あたし、リスティング広告が好きでね。・・・ほら成果がすぐに反映されるとことか面白くてさ。面倒くさがりだけど、これだけはいくらでも頑張れるし。でも、やっぱ人間だからダメな時はダメでさ。桐壺ちゃんが来てくれて本当に助かってます。心強い味方が増えたっていうのかな。だから今後も協力してやっていけたらなーって、思ってるよ。」
「遠藤さん・・・! はい、もちろんです。桐壺、頑張ります!」

がんばれ桐壺ちゃん!リスティング広告代理店の負担軽減のために――。


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