【第3話】桐壺、除外キーワードを設定し、有効なキーワードをフレーズ一致で登録します。


――午後3時。急ぎの業務が一段落つき、桐壺、今井、青木の三名は休憩を取っていた。

青木「ほんっと、助かりました桐壺さん。満天市場の担当さんも『商品ごとに広告文を設定したい』って、急に言いだすんですから。」

今井「おそらくTmazonの広告を見たのでしょうね。でも満天はいい方よ。ちゃんとこちらの営業日考えて要望を出してきたのだから。ただ、新規案件が多くてちょっと人手が足りなかったのよね・・・。ありがとね。」

「いいえ、それが私の仕事ですから!」

なごやかに談笑していると部屋の扉が開いた。入室してきたのはアカウントプランナーの佐藤だった。

「はぁ、戻りました・・・。」
「佐藤さんお帰りなさい。今日はお早いですね。」

今井「すっごい汗。外そんなに暑かったかしら?」

「ええ、久しぶりに、早く戻ってきました・・・。今日は私用がありまして急いでいて。」

青木「水飲みます?」

「あっ、ありがとうございます・・・。」

青木はウォーターサーバーの水を紙コップに注ぎ、佐藤に渡した。喉が渇いていたのか佐藤はそれを一気に飲み干す。

今井「私用ってことは早上がり?」

「はい。ちょっとお店に品物を取りに行きたいので。」

今井「・・・ん? あれ? もしかして彼女さん誕生日なの?以前、佐藤君の携帯を届けに来た時も今頃の時期じゃなかったっけ?」

「ええ。明日が誕生日です。最近、家に寝に帰ってるだけの状態でしたので早く帰ろうかと。」

今井「うっわ・・・。それは愛想つかされちゃうわね。」

「彼女さんのお気持ちもお察しします。ですが現在、中村さんが入院中していますし仕事は増えて当然かと。」

そう桐壺がフォローするが当の佐藤は苦笑いを浮かべたまま。疑問を浮かべる桐壺に対し、青木が佐藤の代わりに答えた。

青木「桐壺さんは来たばっかりだから知らないだろうけど、佐藤さんは仕事熱心すぎてプライベート後回しにしがちなんだよ。『私と仕事どっちが大事なの!?』っていう典型的なヤツ。僕は両方大事にしますけどね。」

今井「ま、青木君は仕事とゲームしかやることがないからね。相手が居る佐藤君の方が大変だわ。」

青木「もー、ちょっとなんですかそれ! 婚活の話、根に持ちすぎでしょうよ。言っておきますけどゲームにもコミュニケーションがありますからね。」

「はははっ、両方こなせる青木君は立派ですよ。・・・実を言うと彼女から『一緒に住んでる意味ある?』という置き手紙を貰いまして。誠実さを見せるために、日付が変わったらプロポーズしようかと。」

今井「えっ、ってことは婚約指輪をプレゼントってこと?それもう絶対に喜ぶわ! 忘れられない誕生日になるわよ!」

(プロポーズ。それは人生を共にしたい相手に想いを告げる行為・・・。ですがなぜ、そんな重要な事を誕生日と一緒に行うのでしょう?)

桐壺はプロポーズにまつわる事例やキーワードを思い浮かべるが、しっくりくる答えが見つからなかった。

「・・・あのー、なぜ誕生日にプロポーズなさるんですか?訴求が重複するのでもったいなくないですか?」

その言葉に一同困惑するが、今井が思考めぐらせ桐壺の問いに答える。

今井「人には必ず1つ記念日がある。それが誕生日。そういった日にプロポーズするとより相手に気持ちが届きやすいのよ。特別な日がもっと特別になって、想い出として強く残る・・・。」

「特別な日をより特別にする・・・。」

今井「それでどんな指輪にしたの?」

「ブランドはLily(リリー)でシンプルなダイヤのリングを。」

今井「・・・あれ? リリーって、もしかして佐藤君が新規でとってきたクライアント?」

「そうです。要望を聞いているうちにそういった話になり決めちゃいました。」

02

佐藤は鞄から付箋だらけのカタログを取り出し、広げる。ページの中央には赤で丸付けされた指輪が。デザインの解説や価格の提案など、事細かに書き込まれていた。

「・・・ご紹介どころか完全に営業のような書き込みが。」

青木「へー、ほんとだ多いな。なんかこう、男にはさっぱり解らない世界だなぁ。桐壺さんならどれを選びます? 価格とか抜きにして。」

「え? そ、そうですね・・・。うーん・・・。迷うと言うより想像つかないといいますか。」

今井「ねぇ、青木君。女性はここにも居るんですけど? 私には聞かないの?」

青木「――それは聞かなくても解るからですよ。・・・今井さんは、このエメラルドカットダイヤのリングじゃないですか?小物とか見ていてもアンティーク調のを好むようですし。あとは、今井さんの顔立ちはっきりしてますから重厚感あっても負けませんし。」

今井「・・・へ?」

(青木さんって結構観察力あるんですね。)
(青木。お前のそれは無自覚なのか・・・?)

青木「――さてと。僕は午後の打ち合わせの後直帰しますね。ゲームの発売日なんで!」

今井「あ、うん・・・。お疲れ。」

青木はぼーっとしている今井に声をかけ、デスクに戻った。それから1分もしないうちに荷物をまとめ終え、会社を後にした。

「・・・よし。私も仕事に戻ります。」

今井「ああ、うん。そうね。十分リフレッシュできたし残り仕事に手を付けなきゃ。桐壺さん、あなたはもうちょっと手伝って貰っていいかしら?」

「はい!」

休憩を終え、おのおの最後の仕事に取りかかる。定時が近づくにつれ、タイプ音が忙しなく響き渡る。そんな中、佐藤の携帯が震えた。

「――はい、KURODAの佐藤でございます。・・・はい、はい。え? いいえ、はい。明日の朝・・・承知いたしました。明日はよろしくお願いいたします。失礼いたします。」

佐藤は携帯を切るとそのまま、机突っ伏した。ため息交じりに「もうダメだ」「今日は無理だ」と泣きそうな声が聞こえてくる。

「・・・佐藤さん、もしかしてお仕事ですか?」
「はい。リリーの最終プレゼンが明日午前に変更になりました。今井さん、リスティングのリプレース提案資料今日中に終わらせないと間に合いません。」

今井「ちょ、ちょっと明日!? 高橋君、遠藤さんちょっとこっち着て。」

今井が呼びかけ、佐藤のデスク付近に集まった。だが、遠藤が突然口元を手で押さえしゃがみ込んだ。

「遠藤さん大丈夫ですか!? お顔真っ青です。ご気分がすぐれないのですか?」

遠藤「あ、うん。とりあえずは大丈夫・・・。吐き気だけ。なんかね明太子おにぎりがダメだったのかもしれない。あのピリッと辛い海産物が大好きなのに、なんだか受け付けなくてね・・・。しょ、食中毒かな。」

今井「しょ、食中毒って。怖いこと言わないでよ。ところで大丈夫なの?」

遠藤「あー、うん。いけるいける。ちょっと休憩すれば落ち着く。」

「遠藤さん、無理はしないでくださいね。――それで、急ぎの案件ですが新規クライアントのリング専門店、リリーへ提出するリプレース提案書と運用シミュレーションを今日中に完成させないといけなくなりました。」

今井「リスティング広告のパフォーマンスがあまりよくなくて、リプレースを検討しているところなの。」

「なるほどな。過去の運用データはあるか?」

今井「ええ。過去のアカウント構成、キーワード、広告文、検索クエリ、CPAの状況をもらっているわ。通常なら3営業日はいただくものなんだけど・・・出来そう?」

遠藤「・・・残業コースで、終わるかな?」

「俺と遠藤2人でやって、終電までに出来るかどうかってところだろう。」
「終電か・・・。なんとか、お願い致します。」

そういって頭を下げる佐藤。皆、自身の残業のことよりも佐藤のことが気がかりだった。終電・・・つまり、佐藤は婚約指輪を取りに行けないということである。

「・・・あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

自律成長型人工知能桐壺

「なんでしょう。桐壺さん」
「確認ですが、リリーのアカウント構築、キーワード、広告文設定、検索クエリ。それを元にシミュレーション作成でよろしいですか?」
「ええ。」

お通夜のような雰囲気の中、桐壺だけは笑顔だった。それも自信に満ちた眼差しで。

今井「まさか、桐壺さん・・・。」

「はい! そちら全て30分でご用意できます!」
「えぇっ!? ほ、本当ですか?桐壺さんは優秀だと聞いていましたが、まさかそんなに早くできるものなのかと。」
「ふ。口先だけじゃなく実績もあるからな、桐壺は。」

そう言って高橋は自分のデスクに戻っていった。自分の出番は無いと言わんばかりに。遠藤も高橋を見て戻った。

今井「頼りにされてるわね桐壺さん。それじゃ佐藤君のためにも急いで貰いましょうか。桐壺さん、重いから気を付けてね。」

今井はそう言ってデスクから女性ファッション誌数冊と、そして電話帳のように分厚い雑誌を桐壺に渡した。

「わっ! 重いです。・・・こ、この雑誌は一体?」

今井「その重いのはブライダル誌のゼクシーヌよ。えーと、確かここら辺に婚約・結婚指輪の特集ページがあるわ。ファッション誌の方にも指輪の特集載ってるから、業界の雰囲気掴んで頂戴。」

「ははっ、さすが今井さん。頼りになります。」
(各社、種類が豊富なのはもちろんですが個性的なものも多いですね。)

今井「どう?」

「もちろん出来ます! 今井さん、雑誌お返ししますね。」

今井「えっ!? わわっ!?」

今井に雑誌を返すと、桐壺は軽やかな足取りで隣の部屋に向かった。そして、ノートパソコンを起動。自分自身をも起動させる――。

『artificial intelligence KIRITSUBO』オン。

AI桐壺ON

桐壺が眼鏡に触れ、言葉を紡ぐと辺りは青白い光に包まれた。光が収まると同時に桐壺の周囲に空中ディスプレイやキーボードが浮かび上がる。――桐壺の瞳も薄緑の輝きを放ち始める。

「システム正常。これより運用アカウントとプレゼン用のシミュレーションを作成いたします。過去のキーワード、広告文との変化が解りやすいように改善案を提示します。」



『除外キーワード』のアラートを感知。リング系キーワードの中に映画やおもちゃなど関係の無いクエリが混じっているので削除します。」

【除外キーワード】

  • ロードオブザリングとは
  • リング 怖い
  • プロレスリング
  • 貞子
  • リング おもちゃ



『検索クエリ』のアラートを感知。『完全一致』や『フレーズ一致』でカバーしていないキーワードがあるので、キーワードをフレーズ一致で追加します。」

【クエリ】

  • 婚約指輪 相場
  • 指輪 人気
  • 結婚指輪 ランキング
  • 指輪 渡し方
  • 結婚指輪 デザイン
  • 婚約指輪 口コミ
  • 指輪 期間



「『特別な記念日』への訴求を強化。リングにふさわしい広告文を生成します。」
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「シミュレーション完了。23%の『CPA改善』が見込まれます。」

――桐壺は30分でアカウント構築、それを使ったシミュレーションを作成した。佐藤はそれを受け取ると、瞬く間にプレゼン資料を完成させる。

「よし! これでプレゼン用資料は完成だ。17時45分・・・。うん、間に合う。桐壺さんありがとう。急いで行くよ。」
「いいえ。それが私の仕事ですから、・・・って。もう行ってしまいましたね。」

最初の挨拶と同様に、桐壺が言い終える前に佐藤は走って出て行ってしまった。



――時刻は23時58分。佐藤は彼女の美桜(みお)と一緒にワインを飲んでいた。

「美桜、ワインもう一杯飲むか?」

美桜「うん、ありがとう。嬉しいなこんなワインまで準備しちゃってさ。こういう日って久しぶりかも。誕生日だって、忘れられちゃったかと思ってたんだから。」

「本当にすまない。ここのところずっと、――いや。ずっと前からだ。『仕事が忙しい』って言ってばかりで、言葉だけの誕生日祝いになっていたからな・・・。本当はレストランでのディナーも考えたんだけど、営業時間に間に合うか自信なくて。」

美桜「ううん。それは仕方ないよ。こうやってお酒飲めるだけいいよ。でも、今度の休みにディナーお願いしちゃうから。」

「もちろんさ。・・・美桜、今何時だ?」

美桜「1分も待たずに0時になるわよ。さっきからそればっかりじゃない。なぁに、私より誕生日が楽しみなの?」

「うん、そうかもしれないな。」

佐藤は微笑みながら、時計を眺める。秒針が『10』を過ぎたところでカウントを始めた。美桜は笑っていた。

「――ハッピーバースディ美桜。私からのプレゼントだ受け取って欲しい。」

そういって佐藤が美桜の前に出したのは、赤いベロア地の小さな箱。

美桜「えっ!」

「待たせてばかりですまなかった。これからはお前を待たせない・・・。俺と人生を共に歩んでくれないか――?」

05



佐藤のプロポーズは無事成功し、一週間が経った。桐壺は昼休憩中に、幸せそうな顔で指輪の雑誌を捲る佐藤を見つけた。

「あれ? 佐藤さん、指輪をもう一つプレゼントなさるんですか?」
「ふふっ。まぁそんなところだね。今度は結婚指輪をね。これは二人で選ぶんだ――。」
「へっ? ああっ! 佐藤さん、ご結婚おめでとうございます!

桐壺の言葉をきっかけに、オフィスは祝福の拍手に包まれたのであった。

がんばれ桐壺ちゃん!リスティング広告代理店の負担軽減のために――。



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